COLUMN
ZEH(ゼッチ)とは
「パリ協定」という言葉を聞いたことがあると思います。このパリ協定で採択された、温室効果ガス削減等の環境問題改善のための国際公約。これを受けた日本がCO2削減への取り組みの一つとして掲げたものがZEH(ゼッチ)なのです。
2016年5月頃から、大手ハウスメーカーもこのZEH住宅に取り組み、CMなどでの宣伝を強化してきています。
ここではそのZEHについて説明いたします。
- ZEH(ゼッチ)とは?
- ZEHにするメリットは?
- ではZEH化によるデメリットは何か?
- まとめ
1. ZEH(ゼッチ)とは?
ZEH(ゼッチ)とは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略です。簡単に言うと“使う電力よりも、創る電力の方が大きくなる住まい”のことです。
つまり
・高断熱などの住宅性能の向上や冷暖房の高効率機器により、住宅の省エネ性を高める
・使用するエネルギーを太陽光発電等で自家発電する
⇒結果年間のエネルギーの消費量の収支がゼロになる。
ということになります。
省エネと創エネを同時にやろう!ということですね。
これまでも太陽光発電などの設置に補助金が使われ創エネが推進されてきましたが、東日本大震災以降の電力需給の不安定化などを受けて、これに加え省エネ化を推奨することでより高い環境性能を携えた住宅を目指すようになったわけです。
2. ZEHにするメリットは?
それでは住宅をZEH化することで得られるメリットは何があるでしょう。
〈家計が助かる〉
なんといってもこれが一番のメリットですね。何十年も生活する住宅で毎月の光熱費が実質ゼロになることは、家計の上ではとても助かることです。むしろ太陽光の売電収入で収支がプラスになることだってあります。
〈健康に暮らせる〉
日本ではあまり注目されませんが、欧米では住宅の断熱性能と健康にはとても関連性があるという認識があります。高断熱住宅に住むと、喘息やアレルギー疾患、ヒートショックなどによる心疾患などを引き起こしにくくなると考えられます。特にご自身が高齢になったときには安心感が増しますね。
〈地球にやさしい〉
住宅の消費エネルギーを削減し、太陽光発電などの自然エネルギーを活用することで温室効果ガスなどの抑制に繋がります。微力ながらも地球規模での温暖化防止に貢献できます。愛するお子様やお孫さんなど、先の世代が住みやすい環境を残していくことも親としては大切な義務ですね。
〈資産価値が上がる〉
2016年4月よりBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)という、建築物のエネルギー性能を評価する制度が導入されました。今後ZEHの普及によりこのBELSの制度も普及していくと考えられます。また、国としても住宅の査定方法が売却時に築年数ではなく、住宅の質の高さが取引価格に反映されるような評価の仕組みを作る方向にあります。お子様やお孫さんに家を引き継ぐなら、資産価値の高い状態にしてあげたいですね。
〈災害に強くなる〉
2011年3月の東日本大震災では、甚大な被害がありました。またその中、原発停止も発生し、電気の供給量が制限されてしまうなどの問題も起こりました。そんな時にでも家庭でエネルギーを創出できることができればとても安心です。
3. ではZEH化によるデメリットは何か?
ここまでZEH化によるメリットを挙げていきました。ですがZEH化に向けては“断熱性能の向上”“省エネ性能の高い設備等の導入”“太陽光発電などの創エネ設備の設置”が必要ですので、必然的にコストが高くなってしまいます。ZEH化による最大のデメリットは費用面です。
ZEH化を進めるにあたってはどの程度の性能の設備を導入するかや、家の大きさ・間取りなどによって必要となる費用は変わってきますが、一般的に250~300万円程度となっています。
長い目で今後2~30年は住むと考えれば、ランニングコストで十分お釣りが出るとは思いますが、初期コストとしては結構割高になってしまいますね。
また、窓が大きい開放的な家を望んでいらっしゃる方には不向きです。住宅における熱量の出入りのうち、窓から出入りする熱量が全体の50%を占めるというデータもあります。冬に熱が逃げやすいのも窓ですし、夏の日差しの影響を受けるのも窓です。住宅のデザインとして少し制約がかかってしまうのも事実です。
4. まとめ
ZEHのメリットとデメリットをここまでお伝えいたしました。
健康面、ランニングコスト、環境保護などZEHには魅力がたくさんあります。初期コストはどうしても上がってしまいますが、長く住み続ける住宅ですから将来的なビジョンも含めて検討したいですね。
また、私たち地球に住む一人一人が今できることを考え、大切なお子様やお孫さんに住みやすい環境を残していくという点でも、ZEHは素晴らしい取り組みといえます。住宅建築の現場でも、真剣にエコに向き合う時代がやってきていることは間違いなさそうです。